うつ病

外来に来られる患者さんの中には「うつ病」=「精神病」ではないかとか、少し眠れない日があったり、2~3日落ち込んだだけで「うつ病」ではないかと思い込んでしまう方が少なからずいるようです。

「うつ病」について正しく認識を持っていない方が意外と多いので、少し説明させていただきます。

総人口の3~5%は「うつ病」患者といわれています。(WHO推計)

このように患者さんが多いのにもかかわらず、実際に治療を受けている患者さんは非常に少ないのが実状です。

精神科や心療内科を受診することにまだまだ抵抗感があることと、軽症うつ病では、精神症状が表に現れず、身体症状を訴えるため、一般診療科(内科、耳鼻科、整形外科等)を受診することが多いからです。

さまざまな検査によっても異常が見つからず、何ヵ所かの病院を受診後、ようやく専門医を訪れたり、紹介されるということも少なくありません。

「うつ病」には早めの受診や対応が大切ですから、是非、次のことを覚えておいてください。

「うつ病」のチェックポイントは「落ち込んだ気分(抑うつ)」「悲哀感」「興味、集中力の低下(テレビや新聞を見る気がしなくなる等)」が2週間以上続くことです。長い人ですと1ヶ月~半年近く続く人もいます。1日や2~3日の単位の変化は「うつ病」ではあまりみられません。

他の随伴症状としては疲労、倦怠感、睡眠障害、食欲不振、罪業感(人に迷惑をかけていると思うこと)、自責感(自分のせいと責めること)希死念慮(死や自殺の考え)、動作や会話の停滞、焦燥感、等があげられます。

もうひとつの特徴は、午前中は気分が悪く憂鬱で、午後になると良くなっていくという日内変動があることです。

治療は、まず焦らずに休むことが原則です。

その際に気分転換に旅行しようとしたり、周囲の人が頑張れと励ましたりすることはよくありません。

一進一退はありますが、「うつ病」は薬物療法により大方は治ります。最近、日本でもSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抑うつ薬が発売されました。

この薬は「うつ病」の原因とされているセロトニン(脳内神経伝達物質)の減少を防ぐもので、従来の抑うつ剤にくらべ副作用(口渇、便秘、尿閉等)が少なく即効性はないのですが、有用で安全性が高いと言われています。

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